能舞台復興への取り組み

◆春日神社能舞台の復興へ

明治初期に老朽化により消滅した能舞台の再建が持ち上がったのは、今から十数年程前の事である。春日神社の氏子は奉行所の役人であったため現在は不在。また、近くに住む私たち住民は春日神社の祭礼の記憶は全くない。しかし、歴史を紐解いていく中で、春日神社の歴史を知っていき、佐渡の能の発祥地であったことや、平成十七年には春日神社建立400年を迎えることを知りました。そして、400年祭に合わせて能舞台の建立の話が進みます。しかし、建立には多額の費用が必要であり、佐渡の能舞台は神社に隣接しており神社の施設となってしまうため、行政からの援助が受けられないという状態でした。

だが、佐渡市羽茂・滝平集落の諏訪神社の氏子より、能舞台だけで現在は物置になっており雨漏りはするものの、無償でお譲りくださるとのお話をいただきました。

こうして平成16年、私たちは建立へ向けての資金繰りからスタートを切りました。宝くじの補助で集会場との名目での申請は門前払い。佐渡市からの行政援助は上記にもあるように神社施設とみなされ補助対象になりませんでした。そうしたなか、民間の補助で「大成建設自然・歴史環境基金助成」があることを知り申請したところ、100万円の補助を受けることができました。

こうして春日神社400年を迎えた平成十七年四月に「春日神社能舞台移設実行委員会」を設立。補助金の他に瓦一枚運動の寄付金を以って能舞台を移設することを決定しました。同年8月からは解体作業を開始し、運搬・整地と作業は進んでいきました。この際、東京都にある芝浦工業大学の学生さんにもご協力いただきました。

建前は、秋空に恵まれた十月二十九日に行い、会員総出で餅つきをし建前に花を添えました。請負業者の「イワイ工務店」から「不足額はイベント事での返済で何年かけても良いから建設しよう」と力強い援護があり、工事は進行しました。

平成十八年四月、私たちの念願であった「平成の能舞台」が完成しました。

五月吉日、羽茂・滝平の諏訪神社の氏子を招待し、能舞台において竣工式を行い、六月四日には竣工記念「薪能」の講演をしました。開演に先立ち、「相川・大工町の太鼓」によるしめ縄を切り、門出を祝ってもらい地元の謡い・鼓童・能の出演があり、約300名のお客様に堪能していただきました。

八月十三日は、アースセレブレーションプレイベント薪能公演。十月八日は薪能公演と、3回のの公演を実施し多くの観客の感動をよび、また地域の活性化にも貢献したことと思います。これまで多くの方々からの寄付や、この事業に従事した業者の協力により、平成の能舞台は第一歩を歩き始めました。

平成十九年は六月十日と十月七日に薪能公演を、八月十一日にはアースセレブレーションプレイベント薪能公演を開催しました。平成二十年以降も薪能公演を継続的に開催しております。今後は能公演だけではなく、地域の活性化や多目的な屋外公演会場として活用し、地域の活性化に役立てたいと考えております。